福岡高等裁判所 昭和52年(ネ)468号 判決
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【判旨】
(四) 一審原告松田達幸は、現在魚介類の仲買を専らとし、自らは直接魚介類の採捕に携つていないとしても、同一審原告は、妻を補助者として漁業を営んでいる漁民である点において、一審被告組合の組合員資格に欠けるところはない旨主張する。
ところで、水産業協同組合法一八条一項一号は「漁業を営む漁民」は漁業協同組合の組合員たる資格を有する旨規定し、同法一〇条二項は、「漁民」とは漁業を営む個人又は漁業を営む者のために水産動植物の採捕若しくは養殖に従事する個人をいうと定義するところ、右に「漁業を営む」とは、法律上経営の主体として実質的に漁業に参与することを意味すると解すべきである。従つて、自ら直接事実上の漁業行為に関与しない「漁業を営む漁民」がありうることは同一審原告主張のとおりであるけれども、本件の場合、全証拠によるも同一審原告漁業経営の主体であると認めるべき資料が存しないのである。確かに、当審証人松田美恵子の証言によれば、同一審原告の妻である松田美恵子は自ら魚介類を採取していることが認められるが、同時にまた同証言によれば、美恵子は同一審原告の補助者としてではなく、自らの主体的な判断と計算において、魚介類を採取し、販売し且つ生計を維持していることが認められるのであつて、単に同女が同一審原告の妻であることの一事をもつて、その漁業の主体性を否定し、同一審原告の漁業補助者であると認めるのは相当でない。しかも、前引用の原判決理由の認定するとおり、同一審原告は専ら仲買業に従事しているところからすれば、同一審原告を漁業経営の主体者と目することは困難である、といわざるをえないのである。
この点の同一審原告の主張は失当であり、採るを得ない。
(高石博良 鍋山健 足立昭二)